MQL5

[裏ワザ] MT5でCloseBy注文を使って取引コストを少なくする方法

CloseBy 注文は、うまく使えば取引の際に払うべき「スプレッドと手数料を本来の半分で済ませる」ことのできる、非常に便利な注文方法です。

「ただの両建て解消注文」だと勘違いしている人が多いらしいですが、実は取引手数料を減らせるのが大きなメリットです。

今回の記事では、

  • 具体的な使い方
  • 実際に使ってみて、どのような仕様で注文が入るのか

を詳しく解説します。

CloseBy とは?

CloseBy 注文とは、「両建てを解消する」ための注文です。

MQL5の場合は OrderSend() 関数の ’actionパラメータ’ を ’TRADE_ACTION_CLOSEBY’ に設定することで実行が可能です。

( ※ OrderSend() 関数の使い方はこちらの記事で詳しく解説しています ⇒ MQL5特有の複雑な OrderSend() の使い方を完璧に解説! )

 

この機能はMT4にも一応存在していて、OrderCloseBy() という関数が用意されていますが、
実際には多くのブローカーでこの注文方法は禁止されており、注文を出しても拒否されます。(FXブローカー側にメリットがないので)

MT5 では OrderSend() の一部として実装されていることもあり、MT4 だと禁止してるブローカーでもMT5なら使える、ということも多くあります。

CloseBy注文 を使うメリットとは

CloseBy 注文のメリットとは、

本来なら2回払う必要のある手数料とスプレッド1回分のみ払って両建てを解消することが可能

であることです。

例えば 、USDJPY のロングとショートをそれぞれ 1Lot 保有している場合、これらを1つずつ決済するとスプレッドと手数料を2Lot分、払う必要がありますが CloseBy を使うと MT5のターミナル側が勝手に 片方の注文の「手数料+スプレッド分の損失」を0にしてくれます

MT5で実際に実行してみた

これだけだと実際にどのように作用するのかわかりにくいので、実際に行ってみました。

まず、「USDJPY で 1 Lot のロング」をしました。

2分くらい時間をおいて、次は 「USDJPY で 1 Lot のショート」のポジションを持ちます。↓これで両建てになりました

両建ての状況

これら2つのポジションを個別にエグジットすると、(価格の変化に伴う損益に加えて)スプレッドと手数料を2回払う必要があります。

ここで CloseBy 注文の出番です。適当にコードを書いて、CloseBy 注文でエグジットしてみました。

これ ↓ は履歴の欄になります。

CloseBy注文決済の仕組み

(エグジットしたときの市場価格に関係なく、)

  • 「ロングのエグジット価格」は、ショートした際のエントリー価格
  • 「ショートのエグジット価格」は、ロングのした際のエントリー価格

となっているのがわかります。

また、ロングの方の損益は 35.83ドルになっていますが、

本来なら -35.83 ドルであるはずの「ショート」の損益が 、0 と表示されています。

つまり、スプレッド分の損が、1回で済んでいます。(なお画像の例では手数料に関しては0である)

注文の仕組み

上記から、注文の仕組みを言語化してみましょう。

1. (お互いに)もう一つの参入価格が決済価格となる

これは大きな特徴です。

「CloseBy を送信したときの市場価格」というものは全く損益に影響がありません

両建てされている2つのポジションを CloseBy で決済する場合、決済価格はもう「片方のポジションのエントリー価格」になります。

2. 自動的に片方の損益が 0 になる

CloseBy の大きなメリットは「本来なら2回払う必要のある手数料とスプレッドを1回分のみ払って両建てを解消することが可能」です。

実際の仕様としては、CloseBy で決済した場合、

片方のポジションは、本来の損益(エントリーとエグジット価格の差)ではなくMT5側が勝手に損益を 0 にしてくれる

 

という仕様になっているので1回分のみで済みます。

どう有効活用するのがいいか

1. アービトラージを “ごまかす” ために使う

一番有益なのはこれじゃないでしょうか?

とくに「レイテンシー(遅延)」をベースにしたアービトラージ戦略では、ポジションの保有時間が2 秒~10に秒くらいになりがちで、FXブローカーに目をつけられた場合にはすぐに口座凍結されてしまいます。

そこで、

  • 本来ならエグジットする価格にて「反対ポジション」を持って「両建て」を行って、
  • 数時間が経ってから CloseBy 注文で両建て解消を行えば、

「保有時間」においては偽装できると思います。

FXブローカー側が何を基準にして、トレーダー側のいかがわしい取引に着目してるのかはわかないですが、「保有時間が短すぎる+短期で爆発的に利益をあげている」と、ほぼ確実にアービトラージを疑われます。

CloseBy 注文を使わない場合だと、2回分のスプレッド+手数料を払わないといけないですが、
レイテンシーアービトラージの各トレードで取る値幅は小さいので、これは相対的に大きなコストになってしまいます。

CloseBy ではコストをかけずにヘッジできるのでこれはかなり大きいです。あと「エグジットするときの市場価格」に全く影響されないのはリスク回避っていう面でも有益だと思います。

ただ、この場合は取引履歴を詳しく見られちゃうと(ほぼ確実に)ばれるので、あくまで「FXブローカーに “目をつけられない” ため」の方法になりますね。

2. 両建てをするようなトレード戦略のエグジットに活用する

1方向のみにポジションを持たず、両建てをするようなトレード戦略の場合、エグジットでうまく使えるとおもいます。

特に短期のトレードシステムの場合、取引コストによって収益性が大きく左右されることも多くあるので、そこを半額にできるのは大きいですね。

   

コメントを残す

*

CAPTCHA